“ぼく”
病気やケガで働けなくなる可能性は誰にでもあります。
これは人生における大きなリスクの一つといえますから、もしもの時についてしっかりと備えておきたいところですね。
“マニーハッくん”
もしもの時を具体的に想定して、公的な保障はどれくらい受けられるのか、そもそも長期間働けなくなるリスクはどれくらいあるのかについて考えてみましょう。
それらを知ることで、自分にはどんな備えが必要なのかがイメージしやすくなると思います。
目次
どんな保障があるの?
例えばケガをした、病気になった、メンタルが病んでしまった(うつ)、このような時、家計はどうなるでしょうか?休業期間の長さによってそれらは変わってきます。
会社員の場合
① 有給休暇が消化されていく
“マニーハッくん”
退院患者の平均入院日数は29.3日なので、土日祝日を考慮すると有給が20日ほどあれば、その間に復帰することも可能といえそうです。
② 傷病手当金が受けられる
有給休暇消化後、会社からの給与がなくなると、公的保険である健康保険から、傷病手当金が受けられます。
*ただし自営業者が加入している国民健康保険にはこの制度はありません。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
“ぼく”
もらえるってことだね。
受給期間は最大で1年6ヶ月、金額はだいたい直近1年間の月収の3分の2程度です。
統計データから平均休業期間は33.53日、給付金額は183,869円(現金給付受給者状況調査報告 協会けんぽ30年)ということですから、働けない期間が数か月~数年と長期化するケースは意外と少ないといえそうです。
“マニーハッくん”
③ 障害年金を受給できる
病気やケガが長期化し、1年6か月を超えてもなお仕事ができない場合には、障害年金が受け取れます。
受給額は障害の等級により以下の通りです。
1級:障害基礎年金(975,125円+子の加算)+障害厚生年金
2級:障害基礎年金(780,100円+子の加算)+障害厚生年金
3級:障害厚生年金
(子の加算:第2子までは年額224,500円、第3子以降は年額74,800円)
障害等級
1級:他人の援助を受けなければ、ほとんど自分の用事を済ませることができない
2級:必ずしも他人の援助を受ける必要はないが、日常生活を送ることが極めて困難で、労働収入を得ることが難しい
3級:日常生活を送ることはできるがフルタイム勤務に耐えられない、軽作業しかできない
- 「初診日(病気やケガを医師に初めて診てもらった日)」を証明できること(医師による診断書が必要)
- 「初診日」に年金に加入しており、保険料を納めていること(免除や猶予はOK)
- 「障害認定日(初診日から1年6ヶ月経った日、またはその期間内に症状が固定した日)」に障害状態であること
障害厚生年金の額は年収水準によって異なります。
例えば、夫(年収450万円)、妻、子供2人の家族構成で、
もしも夫が障害年金2級に該当した場合、
障害基礎年金 78万円+22万円×2人(子の加算)
障害厚生年金 60万円+22万円(配偶者の加算)
→合計204万円(月額17万円)
これが障害が続く限り受給できます。
“ぼく”
自営業者の場合
自営業の場合には会社員に比べると保証が薄いといわざるを得ません。
自営業者の場合、有給休暇はないといえますし、傷病手当金という制度もありません。
障害基礎年金は受けられますが障害厚生年金はないので、先ほどの4人家族の場合でも受給額は約120万円になります。
“マニーハッくん”
働けなくなるリスクはどのくらいある?
傷病手当金を実際に受け取った人のうち、2ヶ月以上にわたって支給されている人は全体の11%程しかいません。
つまり約9割の人は2ヶ月ほどの間に仕事に復帰できているといえます。
備えとまとめ
公的保険(上記に説明した通り)
①傷病手当金、②障害基礎年金、③障害厚生年金がありますが、自営業は①と③はないので、国民健康保険には必ず加入しておきましょう!
貯金で備える
働けなくなる期間をどれくらいに想定するかによりますが、
一般に、「 公的保険+貯金=約2年分の生活費 」を確保できていると安心といわれています。
副収入
不動産からの家賃収入や株式からの配当金収入、事業収入など、収入源を増やしておくことも備えにつながります。
民間保険・・・就業不能保険
公的保険、貯金、副収入でもまだ不安だという方はこちらも選択肢の一つです。
また本当に困った時には親族や友人に頼るのもアリだと思います。
普段からより良い関係を築き、いざという時にはお互いにできる範囲で助け合うというのもよいのではないでしょうか。
もしも長期間働けなくなったとき、家計はどうなるのか具体的にイメージできたでしょうか。
不安が少しでも解消され、もしもの時の備えを考えるきっかけになってもらえれば幸いです。